マンガとアニメの児童ポルノとの線引き
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マンガとアニメの児童ポルノとの線引き



2018年、有名漫画家の和月伸宏が児童ポルノ所持の容疑で逮捕され、捜査当局は個人が所蔵していた児童の性的虐待をイメージしたDVDやCD(15歳未満)約100枚を押収しました。 罰則はというと、懲役はなく、罰金はたったの20万円でした。 数カ月後には出版社から連載復帰を歓迎され、普段どおりの生活が送れるようになったのです。


そして数週間前(2021年12月23日)、『おしえて!ギャル子ちゃん』の作者として有名な鈴木健也が逮捕されました。女子高生ギャル子とその仲間たちを描いたマンガです。 鈴木容疑者はドイツから禁制品(児童ポルノ)を輸入した容疑で逮捕され、警察の家宅捜索でさらに児童ポルノを含む46冊の本が発見されました。 「日本では手に入らない海外の児童のヌード写真集がどうしても欲しくて、我慢できなかった」と供述しているといいます。


この二人の漫画家は児童ポルノを製造したとして逮捕されたわけではありませんが、マンガ・アニメ業界に携わる彼らの存在は、日本における仮想児童ポルノに関する熱い議論に再び拍車をかけることになりました。

児童ポルノの所持は2014年に違法とされましたが、特にマンガやアニメの形態をとった児童ポルノは除外されています。 マンガ・アニメ業界の多くは芸術による表現の自由を主張する一方、人身取引防止活動家(ゾエ・ジャパンを含む)は、これらの「芸術形態」が以下のような形で児童の性的人身取引を助長していると懸念しています。


1. 子どもの性的対象化、人身取引のリスク増大

多くのマンガやアニメのストーリーは、近親相姦、大人と子ども(教師と子どもを含む)の性的関係、目も当てられないような暴力的な性行為をテーマに描かれています。 これらは、大人の娯楽のために子どもをレイプすることを常態化し、ロマンチックにさえ描かれており、そのようなコンテンツを見続ける結果、子どもに対しての感覚に歪みが生じ、実際の子どもに性的暴力を振るうリスクを高めると考えます。


2. グルーミングを目的とした道具

幼い子どもはフィクションと現実の区別が上手くつかず、容易に空想・フィクションの世界に入り込んでしまいます。 そのため、加害者がマンガやアニメのストーリーを利用して子どもに性的欲求を伝え、大人と子どものセックスが楽しくて当たり前という間違った教育や印象を与えるための最適なツールにされています。


3. ストーリー制作に必要なインスピレーションを得るために 

多くの漫画家やアニメ作家は、準児童ポルノ(アニメや絵で描かれた児童性的虐待記録物)について、子どもは想像上で描かれたものであり、制作にあたって実際の子どもは傷つけられていないと主張します。 しかし、作家がこうした行為を想像するためには、鈴木健也や和月伸宏のように、過去に児童性的虐待のコンテンツに触れたことがあるか、あるいはそうした作品を積極的に消費してきた可能性があると考えるのが妥当でしょう。


マンガやアニメといった日本の独特な芸術文化を尊重し守っていくことも大切ですが、子どもたちを犠牲にしてまで、それを行うべきではないと考えます。子どもたちが性的虐待や暴行を受けるようなコンテンツを容認してまで表現の自由を守るべきでしょうか。

子どもたちの安全や安心を守ることと、マンガ・アニメで児童ポルノを描くことと、どちらが大事なのでしょう。

ゾエ・ジャパンはこういった準児童ポルノに対して反対し、政府とも意見交換を重ねています。私たちと共に、マンガやアニメのポルノによる子どもの性搾取に対し、声をあげてください。


私たちにできること

  • 政府がより厳しい規制を実施するための知恵が得られるよう祈る。

  • 被害者支援や法改正に取り組むNGOの集まり、人身売買禁止ネットワーク (JNATIP) のために祈る。

  • 自分の子どもが見るマンガやアニメの内容を確認し、子どもを守るために必要な管理を行う。

  • 子どもたちと定期的に話し合い、年齢に応じた性教育を受けるようにする。


児童ポルノ、マンガ・アニメ等の児童の性搾取についてもっと知りたい方は、ゾエ・ジャパンのウェブサイト「資料センター」をご覧ください。(https://www.gozoe.jp/resources



参考資料

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