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SNS・ネットに子どもがハマってしまう理由

Yuri Osborne

スマホやネットを使う時間は子どもたちの年齢とともに増加傾向にあります。



令和5年度、青少年インターネット利用環境実態調査によると、2歳児のインターネット1日平均利用時間は106分で、17歳になると378分(約6時間)まで増加します。調査によると、17歳の半数以上が一日5時間以上利用し、33%の回答が7時間以上と答えています。24時間のうち、睡眠時間や通学、食事などの時間を抜いたら、1日のほとんどをネットに費やしているということです。


さらに、10歳の65%の子どもが自分専用の機器を所持し、17歳の時点では99.3%の青少年が自分専用の機器を自分で管理しています。


そんな中、SNSを起因とした児童に対する犯罪は年々増加しており、セクストーションや、デジタル性暴力、ネットで出会った人と実際に会ってトラブルに巻き込まれるなど、ありとあらゆる危険がネットの世界には潜んでいます。さらに、ゾエ・ジャパンがX上で13歳から19歳へのアンケート調査したところ、「ネットやSNSの使用について家庭内のルールはありますか?」という質問に対して、「無い」と答えたのが、57%、「あるけどこっそりやぶっている」が22.4%。そして、「あるけど堂々と無視している」と答えたのが9.3%でした。一方で「しっかりルールを守っている」と答えたのは11%にしか及びませんでした。


つまり、「うちではしっかりルール作って、制限しているから大丈夫!」と思っているお方も、実はお子様はすでにフィルタリングを外す方法を知っていたり、アクセスしたブラウザやチャットのやり取りの履歴を消したり裏アカウントを使って好き放題しているという可能性は十分にあり得るのです。子どもたちの方がネットやスマホの使い方は何枚も上手(うわて)です。


それでも、どうして子どもたちはスマホやネット、ゲームを手放せないのでしょうか。その理由を解説していきます。


1.依存してしまっているから


Apple社創始者のスティーブ・ジョブズは、息子のスマホ依存を恐れて、電子機器を14歳まで与えなかったと言われています。自らが開発に関わり、世界中にスマホを広めた彼自身がその依存性の高さを知っていて、自分の子どもには触らせなかったというのは皮肉な話です。どうして依存してしまうのでしょうか。私たちの脳は、ある幸せホルモンという重要な快楽物質を分泌します。その一つが「ドーパミン」です。ドーパミンは、やる気や集中力、モチベーションに関与しており、適度な量のドーパミンが分泌されることで、前向きな気持ちになれたり、目標に向かって頑張れたりします。普通は、おいしいごはんを食べたり、運動したり、日光を浴びたり等といった行動等で分泌されます。ですが、スマホを使ってネットやSNSを利用するときにもこのホルモンが分泌されます。

面白い、ショッキングなコンテンツ、性的に興奮させるような動画を見続けたりするときに、脳は長時間ドーパミンを出し続け、その状態がまるで平常時のような状態になっていきます。そうすると、普通にごはんを食べたり、本を読んだり、勉強することがとてもつまらないことのように感じます。映像が動き、音が出て、次々と別のコンテンツが出現し、光の刺激もあるスマホに比べると日常生活はとても刺激が低いように感じるでしょう。そういったことからスマホ・ゲーム依存、そして集中力の低下、鬱の可能性まで上げてしまいます。またスクリーンを長時間見ると、メラトニンという睡眠ホルモンの分泌にも悪影響があり、睡眠不足に陥るリスクも指摘されています。一度依存してしまったものから離れることは、とても難しいです。依存、中毒になる前にしっかりと対策を取る必要があります。



2. 大人が使っているから


子どものことを憂いる前に、まず親や大人の私たちがスマホやネット等に夢中になりすぎていないでしょうか。食卓ではいつもテレビ、通勤中も動画、起きたらまずスマホニュースをチェック。家族とのコミュニケーションよりも、自分が観たいもの、読みたいもの、得たい情報をスクリーンから受け取ることを優先していないでしょうか。その姿を子どもはしっかりと見ています。ですので、子どもの自分だけがルールや制限があり、好きなように使えないというのはどうも納得のいかないことだと思います。実際に大人が楽しそうにネットを利用しているのですから、子どもたちも当然同じような自由やアクセスが欲しいと思うでしょう。しかし、彼らは脳の発達も未熟で、危険にも無知で、ネットの様々な犯罪者から狙われやすいという大人との差を理解していません。子どもにスマホやネットの使い方を見つめ直して欲しいなら、まず私たち大人の背中を見せる必要があります。一緒にご飯を食べる時、積極的にコミュニケーションを取ったり、夜一緒に散歩したり、週末一緒に出掛けたり、ネットの環境から「一緒に」離れて時間を過ごしてみてはいかがでしょう。先ほど述べたように、本来人間は、家族と時間を過ごしたり、話をしたりすることでリラックス・幸せホルモンは十分な量、分泌されるはずなのです。


3.子どもが「誰かと繋がりたい」と思っているから


青少年期は一番多感で、脳も心も体も大きく変化します。そんな中、自分のアイデンティティーや存在を認めてくれる存在が必要です。「友達と仲良くしたい、流行に乗り遅れたくない、気の合う人と話したい」といった子ども当然といえば当然の願いからSNSで遊んでいるうちに、いつのまにか過激で怪しい大人が集まるようなサイトにアクセスしてしまったり、犯罪目的で近づく大人と繋がってしまっていたり、情報サイトで間違った性の価値観を学んでしまったりしてしまいます。危険があるのは分かっていても、誰かと繋がっていたい気持ちが勝ってしまい、学校に行ってもつまらないし、話し相手もいないから、結局SNSやネットを止められないといったことが起きているのではないでしょうか。



子どもたちのスマホやネットの使用をやめられないの理由1から3を述べましたが、全ての点において共通している解決の糸口は、「大人が子どもの人生に適切に関わる」ということです。子どもが家族と信頼関係を築き、親から愛情を受けることは必要不可欠です。子どもをルールで縛っても、陰でこっそり破ります。親からしっかりと愛情を受け取り関係性ができているなら、ネットで危険な状況に陥ったり、誰かにハラスメントを受けていたり、脅されたりした場合は、すぐ大人に助けを求めることができます。実はこれが一番大事です。

ぜひ、今日から意識してお子様への関わり方を見つめ直してみてください。


ゾエ・ジャパンではネット・スマホの使用について保護者向けのガイドラインを出版しています。ガイドブックを参考に子どもと対話やコミュニケーションを試みてください。どうしたらいいか分からないときは、いつでもゾエ・ジャパン相談窓口に相談してください。子どもたちを守るために、小さなことから始められます!

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