top of page
執筆者の写真ゾエ・ジャパンスタッフ

脆弱性と性的搾取 誰がねらわれるの?

更新日:2023年8月14日

昨今、ソーシャルメディアを通して行われるセクストーションが後を絶たない。いわゆる性的興奮を煽るような写真や動画をSNSで知り合った相手に送るように言われ、送ってしまった後に、その写真や動画をネット上に晒すと脅される。金銭目的もあれば、加害者のゆがんだ性欲を満たすためもあり、リベンジポルノもある。こうしたセクストーションは、子どもに対する性的人身取引の巧妙な手口の一つとして横行しています。

大人の中にはどうしてそんな写真や動画を自ら送るの?と思う人がいるかもしれません。このような騙しの裏には、被害者の脆弱性が見え隠れするのです。


では、安易に性的な写真を送ってしまう子どもたちを責めてしまう傾向のある大人はそんな手に騙されないと言えるのでしょうか。職場では処理しきれないほどの仕事量を押し付けられ、誰も助けてくれない中、責任感を感じ必死で仕事を片付けようとしてしまいます。そのような渦中にいる人は一歩下がって自分の置かれている状況を客観的に観ることができなくなるのです。皆さんはそのような経験をしたことはないでしょうか?そのストレスを紛らわすため、ネットのゲームや性的動画などに埋没し、プレッシャーから逃れようとしてしまう… まさに正常に自己管理ができなくなるのです。そしてゲームで知り合った人とDMを交換するようになり、とんでもない要求をされても気づけなくなるのです。

海外旅行は楽しいものですが、飛行機が遅れ乗り継ぎの飛行機に乗れなかったという経験はありますか?夜遅くに空港に着いたものの、航空会社も店もすべて閉まっている。どうしよう…と思っている時に、「どうされたのですか?」と親切な人に声をかけられたら、その人に頼りたくなりませんか?その人がどんな人かもわからないのに。

大きなストレスや慣れない海外などでは、大人であっても脆弱になるのです。心が弱ると、いつもなら正常な判断ができるのに、よく考えもせず、楽な選択をし、トラブルに巻き込まれるということがあります。

子どもたちの中には、学校でいじめに遭ったり、家では親から虐待を受けているというケースがあります。子どもたちの居場所は、ほぼ学校と家だけです。大人ほど選択肢がないのです。ここに希望が見いだせないなら、SNSで親切に話を聞いてくれる人、街中でやさしく声をかけてくれる人に頼りたくならないでしょうか?そのような人が現れたら、親しくなるのは時間の問題です。弱っている時は、親しくなった相手の素性を知らずに、恋愛感情、承認欲求、金銭を得る目的で、子どもの場合は性的な写真や動画を相手に要求されるままに送ってしまうのです。

そしてその後、脅されたり、写真や動画をネット上でばらまかれたり、販売されたりという被害に遭い、初めて馬鹿なことをしたと気づくのです。


性的被害は人の心、尊厳と密接に結びついているため、魂の殺人と言われるほどダメージがあるのです。そしてその人の人生に暗い影を落とすのです。そのような被害に遭ったお子さんはあなたの周りにいませんか?

被害に遭った子どもの親として、友人として一番大切なことは、「なんでそんなことをしたの?どうしてそこに行ったの?」など、責めるような質問をしないことです。それは被害に遭った本人が一番悔やんでいることだからです。自分も脆弱性によってこのような被害に遭う可能性があるということを知り、子どもの立場に立って話を聞くことです。子どもが被害のことを話したら、勇気を持って話してくれたことをまずは誉めてあげてください。それまでに何か月も何年も悩んだ末に話してくれたのですから。

そして子どもたちへ、相手が性的な画像や写真を送れとしつこく言ってきても絶対に送らないように!そして周りの友だちにもセクストーションの被害に遭わないように注意してあげてね。もし、写真を送ってしまったら、あなたは被害者で、犯罪を犯したのは相手であることを忘れないでね。そしていつでも相談してください。

Comments


bottom of page